Emacs 25.1 を使ってみた
Emacs のメジャーバージョンアップがあり、 Windows 版の IME パッチ済みバイナリーも公開されみたいなので、
Emacs を 25.1 にあげて使ってみました。
今回はリリースノートをベースに Emacs 25.1 の新機能や使ってみて気付いた点を紹介したいと思います。
以前の記事を多少書き直したので、インストールに関してはそちらをご覧ください。
大きな変更
今回の目玉だと思う機能追加は 2 つです。- ネイティブウィジェットを埋め込める機能
- Emacs Lisp からダイナミックライブラリーを利用可能に
ネイティブウィジェットの埋め込み
この機能がバージョン 25 での売りっぽいです。「ウィジェット」というのは Unix 系の GUI ツールキットで GUI 部品を指す用語で、 Linux では GTK++ といったウィジェットを使えるようになります。
WebKit のウィジェットを使えば Emacs で html ページも表示できるようになるらしいです。
ただ、 Windows は未対応っぽいので、試せてないです。
Emacs Lisp からのダイナミックライブラリー利用
Windows での dll 、 Unix 系での シェアードライブラリー(so) を elisp から使えるようになる機能です。メジャーなスクリプト言語を使っている人にはそれほど大した機能に思えないかもしれませんが、 これはかなり大きな変更です。
Emacs には数々の拡張機能がありますが、外部とのやりとりは標準入出力などによるテキストのみでした。 これは「短いプログラムをテキストのやり取りでつなげて使う」という Unix の思想によるものです。
それがライブラリーも直接使えるようになると、今後の拡張機能の広がりに期待が膨らみます。
この機能を利用すると Emacs lisp から mruby を利用するということもできるらしいです。
その他の変更
- Cairo による描画の実験的サポート
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Cario というのは様々なデバイスが出力対象となる描画ライブラリーです。
Xlib や Win32 のような環境別に対象を帰れれるだけでなく、 PDF, SVG, OpenGL といったものも描画対象できるライブラリーらしいです。 まだ実験段階なので何とも言えませんが、今後が楽しみな方向性だと思います。
- Network Security Manager(NSM) によるネットワークセキュリティの拡張(TLS/ SSL 証明書など)
- どの辺の通信が変わったのかよくわかりませんが、いいことじゃないかと。
次の 3 つは日本語を使っている人にとってはほとんど使わない機能かなと思います。
- マイナーモード electric-quote-mode の追加
- 有効にしておくと文字列やコメント内でクオートが書きやすくなります。
- `` で “
- '' で ”
- インクリメンタルサーチ(isearch)における Charactor fold のサポート
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Emacs では大文字小文字を区別しないことを Case fold と読んでいます。
Charactor fold ではさらに似た文字も検索できるようになります。
文字 "a" を表すのに "ⓐ" といった具合に Unicode ではアルファベット 1 文字に色んな種別のものが用意されています。 これが種別の区別なく検索できるようになります。
試したい場合はメニューの [Options] → [Default Search Options] から設定できます。
- 入力可能なユニコード文字の追加
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C-x 8 で始まるキーに Unicode 文字を挿入するコマンドが割り当てられています。
例えば、 C-x 8 C で "©" といった感じです。
これの種類が増えたらしいです。
IME の変換を使えば、 "こぴーらいと" で "©" というように特殊文字の入力もできるので、 使わない機能だと思います。
リリースノートに関してもっと詳しく変更点を知りたい場合は次の記事が参考になるのではないかと思います。
リリースノート以外で使っていて気付いた点は次の 2 つです。
- 候補表示の一時バッファーのサイズが候補数に合わせて変わるようになった
- 置換で履歴が少し使いやすくなった
- IME 入力時の文字サイズの不一致が大きくなった
- IME 入力時にたまに落ちていたのが、なくなった